私が育った寺の山門に1枚のポスターが貼ってありました。
私が幼稚園の頃からです。
いつの頃までかは覚えていませんが
長い年月 何故か同じポスターが同じ場所に貼られたままでした。
「掃けば散り 払えばまたも散り積もる 人の心も庭の落葉も」
竹箒を持った小僧さんの像の写真にこんな詞が書かれていました。
三頭身くらいの円い小僧さんの顔が師匠にどこか似ていて大好きでした。
無邪気でやさしい表情と文字の意味のバランスの不思議をいつも感じていました。
幼稚園の頃に字が読めたわけではありません。
小学生になって自分で調べたのでしょうか。
誰かに教えてもらった記憶もありません。
いつもこのポスターを見ていたことをだけを覚えています。
私はこのポスターを見ているのが好きでした。
言葉の意味もわからないまま小僧さんと会話をし続けていました。
時代、時代で私の解釈も変化しています。
今も落葉の季節になるとあのポスターのことを思い出します。