「高齢者住宅の現状と課題」と称した研修がありました。
最善の高齢者住宅とは、「入居者が自らの意思で何をしたいかを決定し、周囲がそれをサポートする、施設ではない住宅」という講師の結論で締めくくられました。
有料老人ホームの買収や統合が相次ぎ、医療法人の経営する高齢者専用賃貸住宅も増えつつある現状で、これからは看取り(ターミナルケア)や認知症ケアが高齢者住宅の課題です。
総量規制により、新規開設のスタイルも変化があり、既存の運営変更を余儀なくされた事業所も多いようです。
講師はハード・ソフト両面に関するサポートとコンサルの第一人者で、北欧の高齢者住宅にも長けていらして、私としては最後の質問で聞いてみたいことがいくつかあったのですが、会場からの、理想論ではなく現実的な「住まい探し」の質問に遠慮をしてしまいました。
18㎡だの25㎡だの団塊世代が厚生年金等で住める老後の住居ではなく、一人では生きていけない生活困窮者の現状対策を知りたいのでしょう。
事実当社も、高齢者専用賃貸住宅を経営したくてしているのではなく、「生活」を提供してあげたくてサービスをしていたら、制度変更が繰り返され、制度にあわせてこじつけた経営になってしまっているだけです。
「貧困ビジネス」という響きの悪さに、低所得者層という響きの悪さに、あえて言葉に出来ずにいる人たちの本音は、お金のある人は何とかなる、問題はぎりぎりで生活している人たちをどうするのかということです。
文化的な最低生活とは何なのか、それをサポートする専門職はどこから収入を得て、どう事業として成り立たせるのか、という疑問と戦っているのです。
介護保険を契機に福祉の民営化が問われ続けていますが、取組み方針をしっかり住み分けた運営をしていく重要性をあらためて考えさせられました。